■生産者との触れ合いを体験して頂くイベント
去る3月16日から18日に『南さつま・食の体験フェスティバル』という、南さつまの食と酒の生産現場を体験して頂くイベントを開催しました。鹿児島県薩摩半島の西南端にある南さつま市は鹿児島弁で「隅っこ」を表す「すんくじら」とも言われ、海や山の自然がとても豊かな土地です。そうした地域の魅力を知って頂くため、漁船に乗って定置網漁を体験して天然のブリを食べたり、金柑の生産農家で実際に金柑を摘んでジャム作りを体験したり、お茶の生産農家を訪ねたりと、南さつまの生産者の生業を直に体感して頂くイベントでした。他にも焼酎蔵で焼酎造りを体験したり、鹿児島黒豚の加工工場を案内して頂いたりと様々な体験をすることが出来ました。
■首都圏だけでなく、地元の方々にも参加して頂けるイベントに
この企画の開催は2010年3月以来5回目なのですが、これまでは主に首都圏の人に南さつまを体感して頂く機会を創っていたのに対して、今回は地元の方々に参加して頂けるよう窓口を設けたことが大きな特徴です。イベントの名称も地元の方向けの『南さつま・食の体験フェスティバル』と、首都圏向けの『さつま・すんくじらツアー2012年春!』の両方で打ち出しました。
首都圏からの参加者は、南さつまをただ観光して頂くのではなく、生産現場を体験することで、地方が「食」を育んでいることをより身近に感じられる有意義な時間を過ごせたと感じています。そして夜は地元の方々との飲み会を開催し、他人行儀ではない触れ合いも出来ました。
そして、今回からの試みである地元参加者の方々の反応がとても印象的でした。「鹿児島に住んでいても漁船に乗ってブリを獲るところなんて見たことがないから、とても面白かった」という声も頂きました。「これはもっと多くの人に知ってもらうべき」と言って頂けたことをとても嬉しく感じました。
■地域全体で取り組む地域活性
南さつまは地域の結びつきがとても強く、地元が一丸となって様々な新しい地域活性の試みをしています。今回は地元の方々にも来て頂ける新しい体制を整えましたが、まずは試行的であったため、あまり告知が出来ずに開催日に至りました。次回開催を予定している7月末くらいまでには、よりしっかりとした体制を地元と首都圏の両側で整えたいと考えています。遠くからでもぜひ行こうと思って頂ける南さつまの魅力を深堀りし、それを活かすイベントを目指したいと思います。
そして同時にあくまで堅苦しいものではなく、受入れ側も参加側も自然な形で接することが出来る、良い意味で肩の力が抜けた形が良いとも感じています。楽しみながら体験することを通じて人の輪が広がり、その広がりがその後の日常の営みの活性化にも繋がっていけばと思います。
この原稿は、街オリ代表の佐々木が口述したものを、「コトミ 〜 言葉で見える形に」を活用し、ライターが書面化致しました。
「全力で伝えたいことを、全力で伝えても伝わらない相手に、如何に伝えるか」。これは人材育成における根幹的なテーマの一つです。この記事では、街オリがこのテーマにどのような考えを持っているか、そして人材育成・研修事業の展開はどのような意義を持っているかをお伝えします。
■言葉で伝えるためには、厳しさと優しさとのバランスが大切
「全力で伝えたいことを、全力で伝えても伝わらない」ことは多々あります。例えば組織の上下関係について、私が社会人1年目の時には「上下関係は極力無い方が個々人の実力が生き、組織として力が出る」と思っていました。しかし実際に仕事をすると、世の中に新しい価値を生み出すためには、複数の人間が一つの方向に力を合わせることが重要なこと、そしてその為に上の者と下の者の役割分担、すなわち上下関係が必要なことが分かってきました。しかし、このことを上の人が下に人に真直ぐに語っても、受け入れられないことが多いでしょう。私自身、いろいろと痛い目にも合う中で実感したことであり、経験が違えば認識が異なることは当然です。
経験を経て成長することは勿論大切ですが、それと同時に言葉で伝えられるなら伝えたいこともあります。その際に大切な事の一つは、厳しさと優しさとのバランスだと考えています。優しさだけでは伝わらず、厳しく叱られてこそ気づくことが多々あります。しかし、厳しさが相手の受容範囲を超えると相手が精神的に壊れてしまうことがあり、やはり伝わりません。そのため「全力で伝えたいこと」を伝える時には、優しさと厳しさのバランスを取り、相手が受容できる範囲内の厳しさで伝えることが重要です。
厳しさの受容範囲には、個人差があります。受容範囲が広い、いわゆるタフな人は、成長ポテンシャルが大きく、組織にとっては採用したい人材です。しかし、どんなにタフな人でも限界はあり、その限界の見極めが肝要であると感じています。
■別の視点から人材育成を考える機会でもある、研修事業
街オリが自社内の人材育成を考えると同時に、人材育成・研修事業に取り組んでいることは、このテーマと向かい合うとても良い機会を得ていると感じています。
研修事業者にとって研修を受けている方々は、メッセージを伝えたい相手であると同時にお客さまです。そのため上からの目線でない謙虚な姿勢で、相手の心理状態を捉えようとします。同じ組織内であれば「なぜ言っていることが分からないのか」となりがちなところを、一呼吸置くよう自分を律することの求められる環境が、とても貴重です。
それと同時に、研修参加者に心地良いことだけを伝え、組織の中で求められる「あるべき姿」を見失うと、研修の意義はないとも考えています。研修事業はお客さまのいるサービス業ですが、お客さまのためになるためには、時に厳しい先生でなければならず、このバランス感覚が大切です。
自らの組織内だと上(全体)の目線から人材育成を考え易く、外の組織に提供する研修事業では全体の目線が欠け易い。これら双方の立場で人材育成を考えられる機会を活かし「全力で伝えたいことが、伝わる」よう、見識を培って行きたいと思います。
■人材の「あるべき姿」の根幹部分への洞察を常に深める
人材育成は企業経営においても地域活性化においても根幹にあるテーマです。そして活躍できる人材像はどちらも共通している部分が多いと感じています。当たり前のことを当たり前にやる力、深く考え抜く力、チームワークを大切に出来る力は、どちらにおいてもプロジェクトを成果に結びつけるために必要です。私が引き受けている大企業を対象とした研修が、中小事業者など地域における人材育成の参考になると感じることも多々あります。その逆もまた然り。
街オリはそうした人材の「あるべき姿」の根幹部分への洞察を常に深めながら、その上で、その組織その人に応じた人材育成に取組むことを目指しています。
追記、地域活性化は長期に渡る取組みが必要であること、その間ずっと外部の力が推進力になり続けることは困難であること、それ故に地元に推進力となれる人材がいることが大切であることを、地域活性化のプロジェクトに携わる経験を重ねるほど、痛感しています。
この原稿は、街オリ代表の佐々木が口述したものを、「コトミ 〜 言葉で見える形に」を活用し、ライターが書面化致しました。
■実用性の中に美しさを見出す日本人の美意識
広島県の鞆の浦を訪れた際、ボランティアガイドの方に江戸時代にとても裕福だったという一族の家屋に案内してもらい、そこに使われている木について興味深い話を伺いました。その木は以前、船底に使用されていたもので、とても自然に建物の一部を成しており、持ち味もあって大変優雅に見えました。しかしなぜそこに船底の木を使ったのかというと、長年海に浸かっていた木は塩水を十分に含んでいるため白アリなどが付かず、非常に強いからという理由でした。見栄えのために使用したのではなく、あくまで実用性を考えて使用し、それが結果的に美しさになったとのこと。そしてそのボランティアガイドの方が添えてくださった一言がとても印象的でした。
「日本人の美意識は、生活の中の知恵や必要性から見出されるものであり、見栄えが先にきているのではない。実用性の中に美しさを見出していくことが日本人の感性の特色なのではないか。」
この話は、実に大切なことを言い表していると感じました。
■日本人の美意識に通じる街オリのデザインに対する考え方
街オリがデザインを手掛ける際に大切にしたいことも、実用性の中に美しさを見出すことです。例えばホームページは整頓されたものを、商品のパッケージは商品が棚に並び、消費者が向ける目線までを想像して、分かりやすいものを作る。如何にすればメッセージが伝わるかを考え抜くからこそ生まれる美しさがあります。こうした美しさを追求し、最終的に人の心に届くようしたいと思います。遊びからくるデザインもあっていいと思いますが、あくまで実用性・機能性を追求した上で加えたい。
消費者が求めることを把握するマーケティングをしっかりと行い、それに沿う機能美を追求した上で感性に響くものこそが、街オリが打ち出していくデザインではないかと思います。そしてそれは日本人の美意識に通ずるとも思います。
■ひとつひとつのアートを見つめながら、デザインで横につなぐ役割を
デザインとアートとを対比すると、ひとつの定義として、アートは自分の中に起点があり、デザインは相手の中に起点がある気がします。アートは追求することで自分自身をこじ開け、新しい可能性を生むことができる一面があると思います。一方、デザインは「世の中の求めに応えること」だと思います。街オリの本分である地域の光る原石をもっと世の中に出していくためには、このデザインの追求がとても大切です。
アートがひとつひとつの可能性を開くのに対して、デザインはそうしたひとつひとつを横に繋ぐものとも言えます。街オリはひとつひとつのアートをしっかりと見つめながら、それらを横につなぐ、織りなす役割を担っていきます。
この原稿は、街オリ代表の佐々木が口述したものを、「コトミ 〜 言葉で見える形に」を活用し、ライターが書面化致しました。
一つ前の記事では新サービス「コトミ〜言葉を見える形に」について書かせて頂きました。この「コトミ」を創立5周年で立ち上げることは、街オリが「地域活性化に取組む」「企業として」新しいステージに入ろうとしていることを意味しています。そのことを以下お伝え致します。
■地域活性化の「切り口」を示し、それを形にする「手段・方法」を提供できる存在へ
「地域活性化」は、示す範囲がとても広い言葉です。極論すると「何かをする」という漠然としたことに「何処で」という絞り込みだけをしたもので、「誰が」「何を」「いつ」「どうする」「どうやって」が特定されていないと言えます。その「地域活性化」に街オリはこれまでシンクタンク/コンサルティング事業者として関わってきました。漠然としたことについて「考え」て、切り口を見出すことは重要な仕事です。それと同時に、最終的に地域が活性化するためには、考えた切り口が形になっていく「手段・方法」の存在が大切だと感じています。今後、そうした「手段・方法」を提供できる存在になりたいと考えています。
■価値を生む「仕組み」を構築し、組織として貢献できる規模を広げてゆく
街オリは企業として地域活性化に関わっており、「稼ぐ」ことは責務です。そして稼ぐためにはお客様が喜んで対価を支払ってくださる「価値の創出=結果」が必須であり、結果に責任を持つことに我々は誇りを持っています。
このことを踏まえた際、前述の「漠然としたことについて、考える」ことは、個人の力量・経験によるところが大きく、また考えることだけで対価を得られるほどの役割を果たすためには、依頼を受ける個人が類稀な程の力量・経験を積み重ねている必要があると(*1)、これまでの歩みから感じています。一方「手段・方法」については、「仕組み」が構築されれば、より多くの人の才能が活きる機会が生まれ、最終的に価値を創出することができます。組織として「手段・方法=サービス」をつくることは、結果につなげる責任を全うしながら、地域活性化に貢献できる規模を広げてゆけることにつながると考えています。
■「行動/実践」している人たちの言葉を伝えてゆきたい
「手段・サービス」をつくるためには、分野の絞り込みが必要です。そして我々は「言葉の書面化を支援すること。それによる情報発信のマネージメント」を選択しました。これは「良いものがあり、語る言葉も持っているのに、それが形として残らず伝わってゆかない」地域/企業の例を数多く見たことによります。そうした地域/企業の欠けている部分を補ってゆきたいと考えています。
この話をした時、「どのようなお客様に対してサービスを届けたいとお考えですか」と聞かれることがありました。私の応えは「行動/実践をしている人/企業。『何をしたいですか』に加え、『何をしていますか』という問いにこたえられる存在。」でした。内実が魅力的な企業の発信をお手伝いすることで、これまで人が知らなかった価値を世の中に届けてゆければと思っています。
(*1) 「考えることだけ」と表現しましたが、大方の場合、価値の創出につながるこの「考えること」は、地道な調査をすることとドキュメンテーションをすることがセットになっています。
この原稿は、街オリ代表の佐々木が口述したものを、「コトミ 〜 言葉で見える形に」を活用し、ライターが書面化致しました。
この度、街オリのホームページを一部リニューアルし、情報発信体制を刷新しました。この刷新は、街オリが今後情報発信・コミュニケーション支援事業に注力していくことを踏まえたものです。その核となるサービスが「コトミ〜言葉を見える形に」。Featureの第一弾はこのサービスについてお伝えさせて下さい。
■魅力が「伝わる形」になっていない
私たちは経営者の方々や地域活動に関わっている方々と話す機会が数多くあります。その中で、魅力的なモノ・コトが沢山あること、そのモノ・コトについての「語り」が大変面白いことを日々感じています。しかし、「そのお話、書面になっていますか。」と尋ねると、十中八九「ない。」というこたえが返ってきて、大変もったいないとも感じています。書面となり、人に常に読んでもらえることで、魅力が広まってゆける状態になっているものは、全体の1〜2割に過ぎません。話を聞いた我々だけがその魅力を知っていたり、口コミで情報の一部が伝わるだけだったりというケースを多々見てきました。また人に話を聞くに行く際、「もし著書やブログがあればそれを事前に読んだ上でより深くお話を伺うことができるのに。」と感じることもあります。
魅力を伝える言葉が、伝わる形になっていない。この問題を、「形にする」ハードルを下げることで解決しようと考えたのが、「コトミ」です。1つの考えを2時間かけて書面化する時間は取れなくても口頭で語るのであれば15分で済みますし、文章を書くのが苦手でも語る言葉があればそれをプロのライターが書面化できます。
■重要なのに後回しになっている現実
一番身近なところでは、街オリ自身も今までは情報発信が十分にできていなかったと思います。私たちの活動に関心を持ってくださる方は一定数おり、講演の話も頂きます。HP上で情報発信を強化すれば、共感してくださる方も広がりますし、そこから次のビジネスにつながることもあるので、機会を逸していたと感じています。
このように情報発信は経営として優先順位が大変高く、時間を割くべきにもかかわらず、日々の仕事に追われ、おろそかになっている現実が自らにありました。そして、周囲の経営者の方や地域活動に関わっている方のお話を聞いても、同じ状況が多々ありました。
情報発信がおろそかになる理由は、「期日までに形にしなければ信頼が損なわれる」お客様が目の前にいるわけではないことが大きいと考えます。義務が発生していないため、後回しになるのです。これにはマネージャーがついて、考えを語る時間を調整することで対応できます。そしてコトミをご利用頂いている方からは、「マネージャーが調整してくれると自分が気にかけなくても良いので楽である。」との言葉も頂いています。
■「未来の価値」創りにつながる情報発信
情報発信がなぜ大切かというと、「未来の価値」を創ることにつながるからです。コトミの情報発信は「過ぎたことのレポート」で終わらず、その背景にある考えや信念という根本的なことを、「言葉を形にして」伝えるものです。
そうした言葉に、今お付き合いしているお客様は勿論、潜在的なお客様やパートナーが触れれば、「自らとも関わりがある。まず話を聞こう。」と成り得て、そこから様々な可能性が開くことにつながります。
この他、語ることによって自分自身が根本的なことを改めて熟考することも、未来の価値を創るために大切なことです。
■身近なところから生まれる広がりと深い理解
潜在的なお客様は、既知の方の周りにも数多く存在します。興味深い話、共感できる話が形になっていれば、「これは興味深いのではないか。」と周りの人に紹介して頂けることにもつながります。こうした地に足の着いた伝播は未来の価値を広げてゆくためにとても大切です。そしてその際、人づてで聞くことと、発信者自身の言葉が目に見える形で存在することでは、伝播の深さが全く異なります。このような伝播の広がり・深化を「コトミ」は「言葉を見える形に」することで後押ししてゆきます。
【追記】
報道機関向けにプレスリリースを出すことと、「コトミ」で情報を定期的に発信していくこととの違いは何か。思い浮かぶことの一つは、報道機関は先方が関心を持った1つの側面を取り上げてくれるのに対して、「コトミ」は考えの一つ一つを形にできることです。またもう一つは、報道機関による伝達は認識・関心の無かった方が関心を持つことに大きくつながること対し、「コトミ」は関心を持って頂いた後、関心を持続し、更に深めることに有効だと考えています。
この原稿は、街オリ代表の佐々木が口述したものを、「コトミ 〜 言葉で見える形に」を活用し、ライターが書面化致しました。